ヒトおよび家兎リボゾーム蛋白S1を家兎に免疫することで、抗DNA抗体の産生が誘導され、SLE様の自己免疫疾患が誘発される機序を検討することを最終目的とするためにまず、申請者らは、既に報告したヒト部分長cDNAをプローブとしてヒトリボゾーム蛋白S1をコードする全長cDNAをクローニングすることを平成9年度の目的とした。 既に報告したヒトリボゾーム蛋白S1部分長cDNA(1.314bp)をランダムプライマーラベル法を用い[^<32>P]dCTPでラベルしたものをプローブとして、λgtllヒト肝臓cDNAライブラリーをプラークハイブリダイゼーション法でスクリーニングし、5つの陽性λgtllファージクローンを抽出・精製した。得られたクローンを鋳型DNAとしてPCR法でそれぞれcDNAを増幅し、pUC18ベクターにライゲーション後、ヌクレオチド配列をジヌクレオチド法で決定した。その結果、1つのクローンが、1.478bpのヒトリボゾーム蛋白S1全長cDNAを含むことがわかった。 次にλgtllファージをEcoRIで処理し、得られた全長cDNAをpGEXベクターにライゲーションした。ベクターをE.coli DH5αにトランスフォームさせ、感染したE.coliを37℃で2時間培養後、1mM IPTGを加えグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)との融合蛋白を発現させた。次に、E.coliを破砕後融合蛋白をグルタチオンセファロース4Bビーズを用いて抽出した。さらに0.1mMトロンビンを融合蛋白液に加え15℃、10時間混和させた後遠心し、リコンビナント蛋白を含む上清を回収・濃縮した。このGST融合蛋白は免疫ブロット法で抗GST抗体と、リコンビナント蛋白はSLE患者抗dsDNA抗体と反応することを確認した。
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