平均8週齢のBALB/Cマウス25匹及びMRL/lprマウス15匹の腹腔内にプリステン0.5ccを注射し2-4週間隔で静脈採血を行い経時的な試料を得た。同時に各マウス種5-8匹をコントロール群とするためPBS注射群、無処理群を設けた。そして得られたマウス血清中の自己抗体を、蛍光抗体法、免疫沈降法(IP)にて同定した。特異的な自己抗体産生B細胞を分離しモノクローナル(単一株)化を目標としているためIPにおいてはProteinAを担体とし主にIgG型抗体を検出した。BALB/CマウスではPBS注射群、無処理群では有意な自己抗体は誘導されず、MRL/lprマウスでは抗DNA、抗Sm抗体の出現にプリステン、PBS投与の差は認めなかった。注射後約4カ月よりBALB/Cでは各種自己抗体が検出されはじめ6ケ月までの累積自己抗体陽性率は47%に達した。その内訳は抗Su抗体6匹、抗U1RNP抗体5匹、抗tRNA抗体2匹、抗7-2RNA抗体・1匹など多岐に及びヒトで疾患関連性を強く示すものが含まれていた。この抗tRNA抗体は既知の抗tRNA抗体(Jo-1等)と全く異なるものであり、抗7-2RNA抗体は核小体との反応性を確認したが各個体は早期に死亡しクローン分離に至れなかった。他に50Kd及び60Kd、40Kd、35Kdポリペチドと反応する自己抗体を誘導された個体も認めた。一際力価が高い誘導された抗U1RNP抗体の性状をU1RNP抗原構成ペプチド及びU1RNAを抗原とするELISAにて検討したところ、ヒト抗体とでは反応する主要構成蛋白は異なるものの抗U1RNA抗体活性が4匹に認められ、抗U1RNP抗体産生個体を拾うことがクローン株樹立上効率が良いと考えられた。かかる選定を続行しつつクローンの分離、環境条件・手技の整備のためまずMRL/lprマウスより抗Sm抗体産生株を樹立している。
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