研究概要 |
1.BALB/c-plt/pltコンジェニックマウスの樹立 BALB/cにplt遺伝子を導入したBALB/c-plt/pltコンジェニックマウスを作成した。以下の実験には、戻し交配が7代以上経過したものを用いた。 2.各リンパ組織のT細胞亜集団の解析 pltマウスのリンパ節及びパイエル板では、L-selectin陽性T細胞率が少なく、末梢血及び脾臓では逆に多かった。一方、CD44陽性率はpltマウスのリンパ節で多かった。この結果から、pltマウスのリンパ組織へはナイーブT細胞がホ-ミング出来ないことが示唆された。 3.抗原に対する免疫応答能の検討 (1)「抗原に対するT細胞の応答能」マウスをOVAで皮下及びfoot padに免疫した後、所属リンパ節中のT細胞の反応をin vitroで測定した。増殖反応及びIL-4,IFN-g及びTNF産生能を測定した。pltのT細胞はOVAに反応して増殖し、かつこれらのサイトカインを産生できた。しかし、in vitroでの刺激後24時間で非常に強い産生が見られたが、72時間後には急激な低下が観察され、T細胞の反応性に異常があることが示唆された。 (2)「抗原提供能」脾臓由来のB細胞或いはマクロファージ/樹状細胞にOVA抗原をパルスし、OVA特異的T細胞クローンの反応を測定した結果、plt由来の抗原提供細胞の機能は正常マウスの場合と同程度であった。 (3)「抗体産生能」OVA抗原に対するIgM及びIgG抗体産生量を測定した。pltマウスは、抗OVA抗体を産生出来たが、産生量は正常マウスに比して著明に低下していた。 (4)「炎症反応」SRBCに対する遅発型炎症反応をfoot padの肥厚によって測定した。また、腹腔内にthioglycollateを投与し、浸潤マクロファージ及び好中球数を経時的に計測した。これらの実験では有意差は得られず、plt遺伝子野生型産物が炎症反応における細胞浸潤には必須ではないことが示唆された。
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