研究概要 |
滑膜細胞上のICAM-1、VCAM-1にそれらに対するマウスmAb(一次抗体)を結合させ、さらに抗マウスIgG抗体(二次抗体)で架橋形成することで刺激したところ、下記の事実が明らかとなった。 1.ICAM-1、VCAM-1を介する刺激によりIL-1β、IL-6の遺伝子発現がnorthern blottingにて認められた。 2.ICAM-1を介する刺激により、IL-1β、IL-6の遺伝子発現に重要な働きをするAP-1およびNF-IL6の活性化が惹起され、それぞれのDNA結合モチーフに結合することをEMSAにて確認した。NFkB,CREB,STAT等の活性化はEMSAにて認めなかった。 3.AP-1およびNF-IL6の活性化に共通して関与するMAPKがICAM-1を介する刺激により活性化されるか否かを検討したところ、ICAM-1分子の架橋刺激後5-15分でMAPKの急峻な活性化が認められた。今後さらに上流のMAPKK、Raf-1などの活性化についても特異抗体による免疫沈降やゲル内燐酸化法などにより検討する予定である。また、このシグナル伝達活性化機構が、RA滑膜細胞にのみ認められるものか、他の細胞にも生じる普遍的な事象であるのか、OAの滑膜細胞、線維芽細胞株、ICMA-1、VCAM-1の発現ベクターを遺伝子導入して作成したCOS細胞などを用いて比較検討する。 4.Differential display法を用いてICAM-1,VCAM-1架橋刺激により明らかに増強したバンドをそれぞれ3-6のprimerの組み合わせで確認できた。今後各々のバンドにつき再度PCRを行ない、PCR産物の塩基配列をシ-クェンシングし、刺激により発現調節を受ける遺伝子を同定する。
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