研究概要 |
マウス胆管炎の動物モデルとして確立されたGVHDモデルを用い,in vitroで胆管炎を起こしているリンパ球による細胞障害が,Fas system によるapoptosisによるものかどうかを,本研究者らが確立した正常胆管上皮細胞(IBDEC)を用いて検討した.1.方法としては,(1)IBDECがFasに感受性があるかを,agonistic anti-Fas Ab (Jo2)を使用したCr release assayによる検討,(2)もし感受性がある場合,インターフェロンγ(IFNγ)により感受性が増幅されるかの検討,(3)GVHDマウスの肝浸潤リンパ球を分離し,in vitro cytotoxicity assayの系を確立した上で,上記のFasによる細胞障害が,いかにGVHDにおける胆管障害に関与しているかをFasにたいして抑制的に働くFas-Fcを使用して検討した.2.結果(1) agonistic抗Fas抗体添加により濃度依存性にIBDECは障害された.IFNγはagonistic抗Fas抗体添加による細胞障害性を最大67.3%増強した.(2)GVHDリンパ球により,E : T比の濃度依存性にIBDECは障害された.(3)細胞障害性は,Fas systemに対して抑制的に働くFas-Fc添加により抑制された.3.結論(1)IBDECがFasに対する細胞死に感受性があることを示した.(2)マウスGVHDにおける胆管障害にFas systemが関与していることをin vitro系で示した.
|