研究概要 |
対象は大腸癌手術症例,約200検体で,癌部,非癌部大腸粘膜,末梢血単核球を採取し,それぞれのDNA, RNAをフェノールクロロフォルム法,acid guanidinium-phenol-chloroform法で調製した.平成9年度は計画書に従い、(1)大腸癌組織,大腸正常組織におけるテロメア長の測定、(2)前記組織DNAを用いたサザン法によるAT遺伝子の検討、(3)前記組織における、m-RNA発現をノーザン法で確認を行っている. (1)テロメア長をサザンブロット法にて測定した.制限酵素Hinf1,プローブとして(TTAGGG) 4の合成核酸(5'末端ビオチンラベル)を用いた.またテロメア長の測定はNIH imageを用いて行った.テロメア長短縮を145症例で認めた.そのなかで、テロメア長5kb以下の著明短縮を示した症例は26症例であった.この26例を中心に以下の検討を行った.(2)さらにこの26例について、AT遺伝子のcDNAをプローブに、制限酵素をHinf 1, BamH 1, Apa 1, Msp 1を用いて、大きな欠失、挿入、増幅等の異常が存在しないかサザンブロット法にて検索したが、26症例ともに異常を指摘できなかった.また制限酵素多型についても観察されなかった.(3)同様に、26症例についてノーザンブロット法を用いて、AT遺伝子の発現量、さらに異常m-RNAについて検索を行った.その結果、正常粘膜に比較し、癌部においてm-RNAレベルの発現量の増加を認めたが、テロメア長との関係は認められなかった.また異常なバンドも確認できなかった.(4)現在、変異AT遺伝子の確認[RT-PCR→REF (SSCP)→Direct sequence]をRestriction Endonuclease Fingerprinting (REF)法を用いて検討している.
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