GBV-C/HGVの発見によっても非B非C型肝炎の病因の大半は不明のままである。そこで今回、非B非C非G型と考えられる肝細胞癌(以下HCC)の臨床像の特徴を検討し、GBV-Cの関与を検討した。対象は、1994年1月より1995年12月までの2年間に当科に入院した全てのHCC症例185例である。GBV-C RNAは5'-UTR内に設定したprimerを用いてnested RT-PCRにより検出した。その結果、HCC185例中、B型は23例(12%)、B+C型は5例(3%)、C型は144例(78%)であり、非B非C型は13例(7%)であった。これら13例は肝硬変が11例、慢性肝炎が2例であった。GBV-C RNAは23例(12%)に検出され、内訳はB型1例、B+C型1例、C型21例であり、非B非C型では1例も検出されなかった。GBV-C RNA陽性例と陰性例の間には、症例の臨床背景、検査成績に有意差を認めなかった。そこで以下、HCC症例をGBV-C RNA陽性を含むB型23例とC型144例、非B非C非G型13例の3群に分け、臨床像、検査成績を比較し検討した。年齢分布はそれぞれ55.2±11.3歳、66.8±7.6歳、68.8±8.8歳で、非B非C非G型が最も高齢で、3群とも男性例が多かった。輸血歴はそれぞれ22%、44%、15%で、飲酒歴は43%、54%、62%であった。検査成績では、非B非C非G型はγ-GTPがやや高値で、AST、ALTは低値の傾向がみられた。臨床病期はB型はI期が高く、C型では比較的III期が多かったが、非B非C非G型はII期の比率が高いもののIII期は少なかった。非B非C非G型HCCの13例に関して、Kaplan-Meier法による生存曲線を検討すると、3年生存率50.5%、5年生存率33.7%であった。初回治療時にすでに進行している症例が多いことを考慮すれば、非B非C非G型HCCはB型、C型に比べ予後はより良好と推定された。またGBV-C/HGVの肝発癌への関与は比較的少ないと考えられた。
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