本研究はRLGS(Restriction Landmark Genomic Scanning)法およびAT-PCR(arbitrarily primed polymerase chain rection)法で検出された各種の変異を、更に詳細にカタログ化するとともに、変異部位の染色体へのマッピング、およびゲノムのメチル化部位、脱メチル化部位の染色体へのマッピングを目的とした。本年度の目的は(1)RLGS法の改良、(2)効率的なRLGSスポットのクローニング法の開発、および(3)AP-PCR法によるメチル化部位の検出であった。RLGS法の改良については縦型の泳動槽を用いる手法の導入により正確なランドマーク像が一度に多く得られるようになり目的は達成された。効率的なRLGSスポットのクローニング法の開発については当初予定していた手法をさらに簡便化した。新たなクローニング法ではまず、ラベルを部分的に導入して、RLGS電気泳動を行う。スポットを切り出し、ラベルされていない断片にNot Iアダプターを付加したプライマーとHin fIアダプターを付加したプライマーを末端に結合させ、これをPCRにより増幅、アガロース電気泳動により分離、精製する。この断片をPCR産物のクローニングベクターにクローニングし、塩基配列の決定などの解析に用いる。この手法ではこれまでの手法に比べ大幅に操作が単純化されているため簡便に多くのスポットが短期間に解析できる様になった。AP-PCR法によるメチル化部位の検出については、ゲノムDNAをメチル化感受性制限酵素Msp I等で切断したもの出発材料にしてAP-PCR法で解析を行い、メチル化に関与するゲノムのSTS(Sequence tagged site)マーカーをいくつか同定することができた。来年度はこれらの成果をもとに予定した研究を進めたい。
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