1) 慢性化モデルでの検討の前段階として、急性肝障害モデルにおけるVEGFの効果について検討した。LPS(1mg/Kg)投与ラットにおいてリコンビナントVEGFを500ng/rat、1000ng/ratを尾静脈がら投与し、経時的にGPT値を測定したが、1、3、8、12、24時間目においてVEGF非投与群との有意差は得られず、LPS肝障害モデルにおけるVEGFの肝障害抑制効果は認められなかった。 2) Wistar系雄性ラットにチオアセトアミドを投与し肝硬変モデルラットを作成し、肝内のVEGFの発現について半定量的RT-PCR法にて検討したが、健常肝との比較にて有意の差を認めなかった。なお、光顕的な観察では、作製したモデルラットは、肝硬変の状態であった。また、リコンビナントVEGFを500ng/rat、1000ng/ratを尾静脈から投与し、経時的にGPT値を測定したが、1、3、8、12、24時間目においてVEGF非投与群との有意差は得られなかった。 3) in vitro系において、肝硬変モデルラットから肝類洞内皮細胞を分離し、VEGF添加による肝類洞内皮細胞のvaiabilityを検討したところ、培養3日目において、非添加群に比し、内皮細胞のvaiabilityの増加が認められた。 以上のことから、in vitro系においては、肝硬変の状態においても肝類洞内皮細胞はVEGFに反応することから、in vivoにおける検討で、さらにVEGFの投与量や投与経路について再考することにより肝障害の抑制効果が得られる可能性があると考えられた。
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