1。パイエル板への色素局所注入 ラットの回腸を展開しglass light rodを腸管膣内に挿入し、回旨部パイエル板を漿膜側よりSITカメラシステムを備えた正立蛍光顕微鏡下に観察した。グラスマイクロピペットを用いて漿膜側よりパイエル板を穿刺し蛍光色素(アクリジンオレンジ、CFSE)をマイクロインジェクターを用いて注入した。傍濾胞域への穿刺により蛍光色素のプールを形成したところ、色素はプールより移動し微小リンパ管網がリンパ濾胞を取り囲む様に描出された。一方リンパ濾胞への局所注入ではリンパ管網は描出されなかった。 2。パイエル板内の微小リンパ管の生体観察 傍濾胞域と濾胞間領域に細動静脈と区別される微小リンパ管のネットワークが観察された。高倍率ではその中にリンパ球が密に密着して存在する像が顕微鏡下に明瞭に観察された。一部のリンパ球がリンパ球の集塊からはがれ、リンパ濾胞間のリンパ管に流れ込んでいた。観察された像を高速度カメラを備えたビデオシステムを用いて計測した。 3。接着分子に対する抗体投与の影響 マイクロインジェクション注入液中に白血球や血管内皮の表面接着分子に対する抗体(抗α4-インテグリン抗体、抗CD-18抗体、抗ICAM-1抗体、抗L-セレクチン抗体、抗P-セレクチン抗体)を混合して投与しリンパ球のoutfluxを観察した定量化した。抗ICAM-1抗体の投与により濾胞間領域のリンパ管に流れるリンパ球リンパ球数は著明に増加した。 以上よりアクリジンオレンジのマイクロインジェクションによりパイエル板の微小リンパ管を生体観察できた。またICAM-1がリンパ球の流出に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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