1. ラットバイエル板のリンパ管の酵素抗体法による染色(5^1-nucleotidase染色法) ラットの回腸末端部のバイエル板を摘出し、新鮮凍結切片を作成した。0.1MNa- Cacodylate緩衝液(PH7.2)を用いた1%グルタールアルデヒド溶液で固定し5^1- nucleotidaseと硫酸鉛による反応により燐酸塩とし、これをさらに硫化アンモニウムによって、黒色の硫化鉛とすることによりリンパ管の描出に成功した。リンパ管は傍濾胞領域、絨毛直下のドーム領域のみならず、小腸絨毛の中心部にも局在を認めた。 2. リンパ管および、リンパ管内のリンパ球の接着分子の発現の検討 同様にして得られた新鮮凍結標本より連続切片を作成し、2%バラホルムアルデヒドにて後固定した後、リンパ球上の表面接着分子のα-4インテグリン、CD-18、L-セレクチンおよび、血管内皮上の表面接着分子のICAM-1、VCAM-1、MadCAM-1、、P-セレクチン各々に対するモノクローナル抗体にてLSAB法による免疫組織学的検討を行った。ICAM-1の局在は瀘胞領域に広汎に認めるのみならず、連続切片で同定したリンパ管部に一致して発現を認めた。MadCAM-1の局在は高内皮円柱部に認めたが、他には認めなかった。その他の抗体では免疫組織反応を認めなかった。 以上から、ICAM-1がリンパ球の流出に重要な役割を果たしている可能性が組織学的手法においても示唆された。
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