抗LSIAの測定系を確立するために、以下の2つの方法を試みた 1、肝特異抗体の超可変領域(HVR)に相当するペプチドのうちこれまで抗LSIAと特異的に反応したH鎖HVR2(W819)をプレートに固相化し、正常および肝炎患者の血清をさまざまな濃度で添加し、ユーロピウム標識抗ヒトIgを2次抗体として用いDelfia Research System^Rにて血清中の抗LSIA測定を行った。 2、一方、これとは逆に、抗ヒトIgFcをプレートに固相化しこれに正常および肝炎患者の血清を添加後、ユーロピウム標識抗W819にて血清中の抗LSIA測定を行った。 結果 1では検体血清中のIg濃度が高いほどプレートに非特異的に添加したIgがつき、非特異的に測定値が高くなる傾向にあり、抗LSIA特異的な測定は困難であった。2では自己免疫性肝炎で抗LSIAの増加が観察されたが、W819ペプチドにユーロピウム標識をすると、ペプチドそのものがプレートにつきやすくなり、非常にBack groundが高くなることが観察された。一方、抗LSIAのLSIA認識部位がW819以外にもある可能性があり、LSIA上の他のHVRについても抗LSIAとの反応性を調べたところ、L鎖HVR1にも抗LSIAとの特異的な反応がみられ、H鎖HVR3はコントロールとして用いたマウスIgとも反応することが判明し、抗LSIAのLSIAへの結合はLSIAのFabの3次構造がより重要と考えられた。そこで、患者血清の測定には2つの方法をmodifyし、LSIAのFab部分のみを分離しこれにユーロピウム標識をして抗LSIA測定を行う系が一番有用と考えられた。以上より、次年度はこの測定系を用い、自己免疫性肝炎診断に有用か多数検体で判定することとした。
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