研究概要 |
肝細胞癌患者(患者HLA=A11/,B54,Cw1)転移リンパ節より分離したリンパ球をIL-2下に長期培養し、さらにクローニングを行い、細胞傷害性Tリンパ球細胞株を樹立した。樹立した細胞株は、CD3^+、CD8^+で、HLA-A11拘束性に肝細胞癌を始めとし、試した総ての腫瘍細胞株に対して細胞傷害性を示した。抗HLA-classI抗体にて細胞傷害性にブロックがかかり、A11のcDNAをトランスフェクションした腫瘍細胞株に対して細胞傷害性を獲得するようになった。以上のことから、樹立した細胞株はアロキラーのCTLと考えられた。 これを確認すべく、樹立した細胞株のHLAを別の方法で(Cellological)再検したところ、患者本人のHLAとは異なり、HLA-A2/31,B35/51,Cw3/14であった。このことにより、樹立した細胞株はアロキラーCTLと判断した。何故、癌局所にアロキラーのCTLが存在したかを考察するに、患者の治療歴の中に輸血の既往があり、輸血後に患者体内で患者のHLAに対するGVLが起こり、ある一定数の抗A11アロキラーCTLが存在し、転移性リンパ節にも浸潤していたものと考えられた。 現在、患者リンパ節に浸潤していたリンパ球の内、A2/31^+の細胞がいたかどうかを検討中である。同時に、樹立したアロキラー細胞株のTCR(T cellレセプター)を解析中である。 これらの内容は、第27回日本免疫学会総会・学術集会(97/10)で発表した。
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