研究概要 |
昨年度は、GALT(gut-associated lymphoid tissue)を構成する腸管リンパ管およびパイエル板という異なった組織由来のリンパ球(Tcell)のmigration patternの相違を検討した。両群とも各組織での局在パターンは同様であったが、リンパ球注入2、12時間後の標識リンパ球の組織内への数はパイエル板由来リンパ球は腸間膜リンパ節傍皮質域へ、腸管リンパ由来リンパ球はパイエル板傍濾胞域により有意に多く観察され、接着分子の発現は、α4-integrin、L-selectinは腸管リンパ由来リンパ球における発現が有意に強く、migration patternの相違と接着分子の関連が推測された(第22回日本リンパ学会98年6月、Lymphology31:99,1998)。 今年度はリンパ球活性化の影響に関し、すでに抗原刺激としてエンドトキシンを投与したratでのmigration patternが変化することは発表しているが、in vitroでエンドトキシンを負荷したTcellのmigrationを検討した。 【方法】Wistar系雄性ラットを実験に用い、腸管リンパ管よりリンパ液を採取後Tリンパ球を分離、FITCの標識後リンパ静脈より注入した。経時的にバイエル板、腸間膜リンパ節を採取、凍結組織切片6μmを作製し、rabbit anti-FITCを第1ルオキシダーゼ標識goat anti-rabbit IgGを第2抗体とした酵素抗体法を施し標識リンパ球の組織内局在および数を検討分離Tリンパ球をLPS5μg/mlにてインキュベーションしたLPS処置群とコントロール(無処置)群と比較検討を行った。 【成績】標識リンパ球注入後30分で両群ともパイエル板旁濾胞域での局在が観察されたが、その数はLPS処置群におトロール群より有意に多く認められた。 【考察・結語】LPSによる腸リンパ管リンパ球のパイエル板へのmgrationの増加の一因としてリンパ球への直接作用示唆された。 (GALTにおける腸リンパ管T cell migrationに対するエンドトキシンの影響。第40回日本消化器病学会大会98年10月にて発表)
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