研究概要 |
1、ヒト肝細胞癌では、第4染色体の欠失が効率に認められ、第4染色体上にはBMPシグナル伝達に関る遺伝子Smad1が存在している。そこで、76症例のヒト肝細胞癌組織及びその正常部を用い、Smad1遺伝子(cDNA)のMH2ドメインに3組のPCR primer(302bp,308bp,176bp)設定しRT-PCR-SSCP法にて解析した。しかし解析した76例の肝細胞癌症例でSmad1 cDNAに異常が認められた例はなかった。次に肝細胞癌36症例においてSmad1の発現を半量的PCR(β-アクチンをコントロールとして26サイクルのPCRを施行)で検討したが、癌部、非癌部において差が認められた症例はなかった。これらの肝細胞癌症例における第4染色体欠失の頻度は、FGA座位で27%(PCR-RFLP法)、FABP2座位で16%(PCR-RFLP法)、D4S125座位で12%(サザンブロット法)であった。現在、RFLPマーカーを増やして肝細胞癌における第4染色体の共通欠失領域を求めており、Smad4遺伝子が肝細胞癌の共通欠質領域内に存在する遺伝子であるか否かを確認している。さらにSmad1遺伝子の発現をウエスタンブロット法にても検討する予定である。 2、Smad2,3,4遺伝子のMH2ドメイン及びTGF-β受容体遺伝子の肝細胞癌及び他の消化器癌における異常の有無も、現在解析を進めている。
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