研究概要 |
まず気道上皮細胞に対するAAV vectorの遺伝子導入効率をAd vectorと比較検討multiplicity of infection(moi)1-100の間では、ほぼ同等の遺伝子導入効率を達成することを見い出し、論文として報告した。しかしながら、高濃度のAAV vectorの作成は現時点では困難なため、AAV vectorの遺伝子導入効率を上げる手段として、宿主細胞のDNApolymeraseなどの酵素群を活性化させる手段として、DNA topoisomerase inhibitorの前処置によって遺伝子導入効率を10倍程度にまで上昇させる現象を見い出し論文として報告した。また、Ad vectorは細胞種によって遺伝子導入効率が異なることが知られているため、他の肺内細胞への遺伝子導入を検討した。肺線維症などで主役となる肺線維芽細胞に対する遺伝子導入を二つの異なったプロモーターを有するAd vectors(Ad-CMV-lacZ,Ad-RSV-LacZ)で比較し、ともに有効な遺伝子導入を達成することを報告した。同様の検討を、血管内皮細胞、肺癌細胞、などでも行っている。また、より生体内への遺伝子導入に近いモデルとして、器官培養下の気管支への遺伝子導入についても検討し、データを重ねている(論文準備中)。また、DNAウイルスベクターの誘導するアポトーシスについても、主に肺癌細胞株を中心に検討している。
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