研究概要 |
本研究の目的は、加齢が肺内DCの分布やそのphenotype、抗原提示能に及ぼす影響を検討し、加齢に伴う肺局所の免疫応答の変化を抗原提示細胞に焦点を当てて解明することである。現在までのところ以下のように研究を進めている。 1.加齢による肺内DCの分布の変化:若齢BNラット(7-9w)と老齢ラット(100-130w)の肺組織を用いて抗MHC classII抗体(OX6)および抗DC抗体(OX62)による免疫組織染色を行い、DCの解剖学的な分布や単位面積当たりのDC数を比較検討した。現在、老齢ラットでは単位面積当たりのOX6陽性DCが減少する傾向を認めている。また、OX62陽性DCは末梢肺にはほとんどに認められず、主に中枢気道に存在することが明らかとなったため、現在、末梢肺以外に気管支におけるOX62陽性DC密度を検討中である。 2.肺由来のdendritic cell(DC)のphenotypeに対する加齢の影響:可能な限りpurityの高いDCを、mixed lymphocyte reaction(MLR)等のassayに用いるだけの十分な細胞数が回収できるように分離方法を工夫し、以下のような方法を確立した。ラット肺をcollagenase,DNaseで処理してsingle cellとし、bovine serum albuminを用いた濃度勾配によってlow density fraction(LD)を得る。続いてLDを抗MHC class II抗体(OX6)とinubationし、抗マウスIgG抗体が結合したmagnetic beadsを用い、magnetic cell sorter(MACS)によるpositive selection を行った。この方法で5X104個のDCが一匹のラットから得られ、そのpurityは90%以上であった。今後は、肺から分離したDCを用いてその機能やphenotypeを検討する。
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