研究概要 |
肺癌に対する臨床応用を目的に、肺癌患者単核細胞に対するIL-15の抗腫瘍活性と2次的サイトカイン産生誘導能について検討した。 20人の健常人と34人の肺癌患者末梢血および癌性胸水より比重遠心法にて単核細胞(MNC)を分離し、IL-2,IL-12,IL-15存在下で4日間培養し、SBC-3(SCLC)肺癌細胞に対するキラー活性を4時間51Cr遊離試験により測定した。また各種サイトカインはELISA法にて測定し、以下の点を明らかにした。 1)肺癌患者末梢血MNCのIL-15誘導キラー活性はIL-2と同等であり、また健常人とも同程度であった。 2)肺癌患者において、Stage I-IIIBとStageIVでも、末梢血MNCのIL-15誘導キラー活性は健常人とほぼ同程度に見られたが胸水症例では低下していた。 3)担癌局所である癌性胸膜炎水中の単核細胞においてもIL-15刺激によるキラー活性誘導が可能であった。 4)肺癌患者末梢血MNCにおいてもIL-15誘導キラー活性はIL-12と共存により相加的に増強され、TH1サイトカインであるIFN-γは相乗的に産生誘導された。 5)肺癌患者末梢血MNCにおいてはIL-5,IL-10などのTH2サイトカインの産生誘導能はIL-2よりIL-15が低かった。 担癌状態ではIL-2投与によりTH2サイトカインの誘導がおこるIL-15は担癌状態においてもIL-2と同等の抗腫瘍活性を誘導し、TH2サイトカインの誘導は低かった。IL-15によ肺癌免疫療法はIL-2と比べより有用である可能性が示唆された。
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