1.抗原性の検討 1夏型過敏性肺炎(SHP)の原因抗原は、Trichosporon.asahiiおよびT.mucoidsを液体サプロー培地で培養した培養上清に存在する。更に、血清型特異的抗原はこれらの培養上清をセファロースCL-4Bで分画した時得られる2つのピークのうち高分子量画分に存在し、その本体は分子量約80万の多糖体である。このT.asah特異的抗原の抗原性を検討するため、われわれが開発した抗T.asahii特異的単クローン抗体を用いたELISAで検討した。抗原を121℃、20分間の加熱あるいはpH11に暴露すると患者血清および単クローン抗体との反応性は著しく低下した。T.asahiiおよびT.mucoides特異的抗原の構成糖はグルコース、キシロース、グルクロン酸であることが分かっているが、これら3糖の結合だけでこのような性質になることは考えにくいため、他の構成成分特にアセチル基などの存在について検討する予定である。 2.血清中の抗T.asahiiIgGサブクラスの検討 SHPの原因抗原に関しては、培養上清の硫安塩析画分に対するIgGサブクラスの分布の検討から、多糖体ではなく蛋白質である可能性が報告されているが、同画分がSHPの原因抗原である証明がなされていない。われわれが精製した抗原はSHP患者の血清中に高率にその抗体が存在する。この抗原を用いたサブクラスの検討では、患者血清中の抗T.asahiiIgG抗体はほぼ100%がIgG2で、この反応は多糖に対する反応に矛盾しなかった。更に、多疾患対照、正常対照では、抗T.asahiiIgG2抗体はまったく検出されないことから、血清診断の精度を上げることが期待される。
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