研究概要 |
1 目的 手関節屈曲開始直前の前腕伸筋(FE),屈筋(FF)群の運動誘発電位(MEP)をパーキンソン病(PD)患者で記録し,premovement facilitationを解析した. 2 対象・方法 振戦のないPD患者10例と年令を対応させた健常者(NC)10例を対象とした.被験者は坐位とし,眼前のダイオード点灯とともにできるだけ速く手関節を屈曲させ,FE/FFよりEMGを,手関節に装着したゴニオメータより関節角度変化を記録し,反応時間(RT)を求めた.経頭蓋的磁気刺激をダイオード点灯からRTの間で行ない,視覚刺激と磁気刺激との時間間隔(ISI)を0 msecからRTまで変化させ,各ISIでのFEとFFのMEP変化を記録した.アナログデータは今年度設備備品として購入したADコンバータを介してコンピュータに取り込み,統計学的解析を行った。 3 結果 (1)NCではRT前約100-50 msecからFF-MEPに促通が認められ,促通効果はISIがRTに近づくにつれて増強した. (2)NCではFE-MEPに促通効果は見られなかった. (3)PDでは,FEにもRT前約100-50 msecからMEPの促通が見られ,促通効果はISIがRTに近づくにつれて増強した. 4 結論 PDでは,手関節屈曲運動開始時に主動筋(FF)だけでなく拮抗筋(FE)にもpremovement facilitationが検出された.
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