新生ラットの顔面神経を末梢にて切断し、経時的(6、12、18、24時間、1、3日後)に組織切片を作製し、TUNEL法にて、運動ニューロン細胞死の出現を検討したところ、TUNEL陽性細胞は切断後24時間をピークに観察された。従って、軸索切断にて誘導される運動ニューロン細胞死のプロセスは、切断後24時間の間に進展していると考えられた。同様に、運動ニューロンの再生が観察される若齢ラットの顔面神経切断では、TUNEL陽性細胞は観察されなかった。また、アポトーシスにおいて染色される抗poly(ADP-ribose)抗体による免疫染色も行ったが有意な染色性は認められなかった。 次に、顔面神経核運動ニューロンのアポトーシス過程において、caspaseの活性化を検討するため、punch outした顔面神経核より蛋白質を調整し抗caspase-3抗体を用いて、ウェスタンプロットを行った。caspase-3は活性化過程で20kDaと10kDaにプロセシングされていることが報告されているが、顔面神経核での発現量は乏しく、活性化の確認は困難であった。近年、活性化型caspase-3を認識する抗体が報告されてきており、今後は、caspase活性の生化学的測定、もしくは前述の抗体を使用して検討を進めたいと考えている。
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