研究概要 |
電子伝達系複合体Iのサブユニットの一つである24-kDa subunitのsignal peptideの一部をコードするエクソン2内にAlaからValへアミノ酸置換を遺伝子多型を見出しておりオッズ比2.4(95%CI,1.18-4.88)で,PDの危険因子と成りうることを確認した(PD126例,コントロール113例)(Genomics in press).遺伝子多型の解析で問題になるのは人種差及び地域差による影響である.そこで先に認められた24-kDa subunitのAla29Valの変異について人種差及び地域差の違いがあるか特に白人系について解析している 更に24-k subunit遺伝子に他のエクソンに一個のアミノ酸を欠失したpolymorphismを見出した.この遺伝子多型の解析に関しては現在進行中である.51-kDa subunitのNADH結合部位を構成しているエクソン4内に同義的遺伝子多型を見出してたが,非同義的遺伝子多型は存在しなかった.複合体Iの構成サブユニットである分子量23-kダルトンであるB22サブユニットに種間で保存はされていないがserineからprolineにアミノ酸置換のある遺伝子多型を見出した.この遺伝子多型についてパーキンソン病146例,コントロール139例についてassociation studyをおこなったところprolineのホモ接合体はパーキンソン病1例,コントロール6例存在していた(パーキンソン病:serineホモ接合体83例;serine/prolineヘテロ接合体62例;prolineのホモ接合体1例)(コントロール:serineホモ接合体90例;serine/prolineヘテロ接合体43例;prolineのホモ接合体6例).この遺伝子多型そのものはパーキンソン病の危険因子には,なり得ないがprotectiveに作用する可能性がある.今後更に症例を増やして検討中である.
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