研究概要 |
[1]尿糖出現後3週以上経過した自然発症糖尿病(non-obese diabetic(NOD))マウスならびにその対照マウスより、脊髄後根神経節(Dorsal root ganglia(DRG))(感覚)、迷走神経下神経節(Nodose ganglia(NG))(感覚-副交感)ならびに上頸神経節(Superior cervical ganglia(SCG)(交感)を摘出した。各神経節での以下の神経ペプチドの遺伝子発現を、reverse transcription-polymerase chain reaction(RT-PCR)法を用いて比較検討した。 1)Neuropeptide Y(NPY) 2)Galanin 3)α-Calcitonin gene-related peptide (α-CGRP) 4)β-Calcitonin gene-related peptide (β-CGRP)正常対照マウスのDRG及びNGでは、α-CGRPならびにβ-CGRPの発現が高く、NPY,Galaninはほとんど発現が認められなかった。一方、SCGではNPYの発現が他のペプチドよりも高かった。また、糖尿病マウスでは対照マウスに比し、DRGでのNPY,Galaninの有意な発現上昇が認められた。SCG,NGでの変化は現在詳しく検討中である。糖尿病に伴う、DRGでのNPY,Galaninの発現上昇が、感覚及び自律神経障害の発症に関与している可能性が示唆された。以上の成果は、第40回日本神経化学会(松山)にて発表した。 [2]ストレプトゾトシン投与3週間後の糖尿病マウス(血糖値>300mg/dl)ならびにその対照マウスより、網膜,DRG,SCG,NGを摘出し、組織片もしくは神経節のままコラーゲンゲル中で組織培養した。位相差顕微鏡下に組織を経時的に観察し、軸索切断端からの再生突起の数、長さを計測し、糖尿病の神経再生能に及ぼす影響を検討中である。
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