4週令のDahl-S(DS)ラット(食塩負荷により血圧が上昇する)とDahl-R(DR)ラット(食塩負荷により血圧が上昇しない)を4%NaCl食(H群)と0.5%NaCl食(L群)に分け、4週間後腎アルギナーゼ(AR)活性、アルギナーゼI・アルギナーゼIIのmRNAを定量した。4週令の食塩負荷前のDSラットとDRラットにおいても腎アルギナーゼ(AR)活性を測定した。 DS群において、腎AR活性はDR群よりも有意に低下していたが、食塩負荷の影響は無かった(DS-L vs DS-H vs DR-L vs DR-H;0.76±0.26 vs 0.71±0.36 vs 1.00±0.26 vs 1.00±0.40)。また4週令のDS群においても、腎AR活性はDR群よりも有意に低下していた(DS vs DR;0.78±0.12 vs 1.00±0.1)。 DS-H群において、アルギナーゼIのmRNAはDR-H群よりも有意に低下していたが(DS-H vs DR-H;0.61±0.39 vs 1.00±0.30)、アルギナーゼIIのmRNAは低下傾向にあるものの有意差はなかった(DS-H vs DR-H;0.82±0.26 vs 1.00±0.28)。 結論:食塩感受性高血圧モデルにおいてAR活性は高血圧発症前から低下しており、食塩負荷による影響はうけなかった。その機序としては、一部転写レベルでの調節が考えられた。ARはL-アルギニンを尿素とオルニチンに分解するが、尿素はNa-K-2C1cotrasporterを抑制し、SHR-SPラットにおいてはNa利尿効果と降圧効果があることがしられており、腎AR活性の低下は食塩感受性高血圧の原因の一つかもしれない。
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