研究概要 |
1. ラット心筋のischemic preconditioning(IPC)効果においてProtein kinase C(PKC)がいかに関与し、いずれのisoformが関与しているかを調べた。単離心筋作成後、PKC-activator/inhibitor、ATP依存性カリウム(K_<ATP>)channel opener/blocker、ADO activator/inhibitorを各々組み合わせてインキュベートした。その結果、アデノシン、K_<ATP>channel開口薬の両者でδPKCの細胞質から細胞膜へのtranslocationを認めた。さらに各々の阻害剤でも双方のPKCtranslocationに影響を与えたことより、今までend-effectorと考えられていたK_<ATP>channelからアデノシンへのfeed backという新しい存在が示唆され、その中でδPKCが重要な位置を占めていることが考えられた(1998年第16回 International Society for Heart Researchにて発表、1999年第63回日本循環器学会にて発表予定)。 2. 加齢ラットではIPC効果が消失することを我々の教室で以前報告した(Circulation 95:2559-2566,1997)。加齢がPKC translocationにどのような影響を与えるか、さらにIPC様効果を持つphorbol ester投与により何らかの影響を受けるかを調べた。結果として50週の加齢ラットでは対照群に比べ4つのisoformのうちδの濃度のみが約50%減少していた。またphorbol esterによるtranslocationも消失した。以上より加齢によるδPKCの変化は加齢ラットでPC効果が減弱する一因であると考えられた(1998年第62回日本循環器学会にて発表)。
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