研究概要 |
(1)抗PYK2抗体の作成 PYK2のcDNAを遺伝子組み替え法により大腸菌発現ベクターであるpGEXに挿入し、PYK2-GST融合蛋白質を大腸菌に発現させた後、PYK2-GST融合蛋白質をウサギ背部皮下で免疫し、ポリクロナール抗体を作成した。精製されたポリクロナール抗体は、免疫沈降、Western Blot、蛍光染色に使用可能であった。 (2)シグナル伝達機構の解析 ラット新生児培養心筋細胞を初代培養し、24時間の無血清培養後、アセチルコリンにて刺激した。0、2、1、2、5、15、30分後に細胞を可溶化し、上記(1)で作成した抗PYK2抗体を用いて免疫沈降し、SDS-PAGEした後、抗リン酸化チロシン抗体を用いてWestern Blotを行った。PYK2は1分後よりリン酸化を認め、3分後には最大となった。このアセチルコリン刺激によるPYK2のリン酸化はG蛋白質の阻害剤である百日咳毒素により、抑制されたが、PKC阻害剤であるPMAでは抑制されなかった。 (3)PYK2の発現、局在性 上記(1)で作成した抗PYK2抗体を用いて、成獣ラットの凍結切片を蛍光染色した。、心房筋、心室筋に明らかな局在は認めなかったが、刺激伝導系を中心に軽度の染色が見られた。 (4)電気生理学的特徴 現在、PYK2遺伝子のセンスおよびアンチセンスオリゴヌクレオチドをHVJ liposomeを用い、培養心筋細胞に導入中である。今後、アセチルコリン刺激後のI_K、I_<K1>、I_<K,ATP>、I_<K,Ach>等のカリウムチャネルイオン電流を、パッチクランプ法により観察予定である。
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