研究概要 |
1)世界各地よりケトン体代謝異常症を疑われた患者細胞約20症例について酵素診断を行い,新たにT2欠損症3例およびSCOT欠損症2例を診断した.2)リンパ球および線維芽細胞における他のケトン体代謝酵素の検討として,本年度は3-hydroxybutyrate dehydrogenaseの蛋白検出を行うための予備実験を行った.3)SCOT欠損症の蛋白,遺伝子解析.3例につきRT-PCR法を用いて新たな患者遺伝子変異を同定し,変異cDNAの発現実験を行い変異の性質を調べた(投稿中).SCOT遺伝子のクローニングは本遺伝子が100kb以上の長さをもつことが判り,難航している.あと1-2エクソンを残してクローニングした.4)T2欠損症の解析.オランダ,スペインの6症例について遺伝子変異の同定と変異を同定した.現在その変異の特徴を解析中である.日本人2症例の遺伝子変異によるT2蛋白の3次構造の変化について,生物分子工学研究所の中村先生との共同研究にて,酵母のペルオキシソームのチオラーゼの3次構造からT2蛋白の3次構造をシュミレーションして検討した(投稿中).5)CT,T2,SCOTの各種臓器における発現について,ノーザンブロット,半定量的PCRによるmRNA発現を,またイムノブロットにて蛋白発現を調べ,ケトン体代謝のヒトにおける役割について明らかにした[Pediatr.Res].6)VLCAD欠損症の解析.3例のイスラエル症例の遺伝子変異について,発現実験を行い,遺伝子変異の特徴を調べ現在投稿準備中である.
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