研究概要 |
1.在胎120日の妊娠羊5頭に対し、マ-カインによる硬膜外麻とケタラールによる鎮静を行った。母体の腹壁、子宮を切開して羊胎仔を露出し、右頚部より右総頚動脈を確保し超音波血流計を装着した。右総頚静脈からカットダウン法にて心房ペーシングカテーテルを挿入し、右心房内に留置した。必要に応じて、子宮収縮抑制を期待してNeophylline250mgの静注を行った。さらに、鎮静が必要な場合はケタラール40mgを適宜追加投与した。 2.右心房を体外式ペースメーカー(Philips社製TP400ペースメーカー)にて1)コントロール(ペーシング無し)、2)350/分にてペーシング(前年度までの検討から350/分でのペーシングでは明らかに心拍出量は低下している)し、脳血流を超音波血流計を用いて測定した。つづいて、一酸化窒素合成阻害剤であるN omega nitro L-arginine(NNLA)を総頚動脈から注入し同様の検討を行った。 3.NNLA静注前の脳血流量 1)25ml/kg/min,2)17ml/kg/min NNLA静注後の脳血流量 1)24ml/kg/min,2)8ml/kg/min 4.以上より一酸化窒素合成阻害剤を注入した場合の脳血流は350/分でペーシングした場合明らかに低下しており、心拍出量が低下するような異常な血行動態下では一酸化窒素が重要臓器である脳の血流を保っていることが示唆された。今年度は、まだ5頭の検討しかできなかったので、来年度も引き続き検討を行う。さらに、ホルマリンを房室結節に注入する方法での完全房室ブロックの作製は胎仔に与える影響が大きく、まだ確立されていない。
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