【今年度の研究報告】 平成9年度からの継続で以下を施行した。 1. 1p36.1領域のYAC contig作製 (1) 我々の研究室で同定された1p36.1に座位する新たな遺伝子をマーカーとしてYAC libraryをスクリーニングした。 (2) cloningされたYACの一部の塩基配列を決定し、その配列を用いて再度libraryをスクリーニングし、YAC contigを作製した。 2. 神経芽細胞腫(NB)で共通に欠失しているcloneの検出 (1) 2種のNBのcell line及び進行型NB患者から得られた腫瘍組織に対してFISH法及びサザン解析により、共通に欠失しているcloneの検出を試みた。 進行型NBから得られた腫瘍組織においては1p36領域の欠失が大きく、特定領域の狭小化は難航し、現在も継続中である。 【今後の研究展開に関する展望、計画】 NBは他の固形腫瘍に比べ、複数の癌抑制遺伝子の存在が目される1p36領域の共通欠失が大きいことが問題となっている。最近、マススクリーニングで発見されNBでかつ1p36欠失のみられる例においては、欠失領域が小さいことが報告されている。少数例ではあるがこのようなNBについても、今後、上記の共通欠失cloneの検出を継続し、cloningされ次第以下の計画を進める予定である。 1. cDNA cloning (1) genomic cloneをもとにcDNA libraryをスクリーニングし、その領域のcDNAをcloningして塩基配列を決定。 (2) homology検索にてその遺伝子の機能を推定する。 2. NB細胞及び組繊での異常の確認 (1) NB細胞及び組織にてノザン解析を行い発現の異常を確認する。 (2) NB細胞及び組織に遺伝子導入することにより増殖の抑制を確認する。また、同時にN-myc増幅の有無もみる。 3. 遺伝子機能の解析 (1) 培養cos細胞等に遺伝子導入し、細胞増殖・分化に関連した遺伝子発現の変化を解析する。
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