ゴ-シェ病には神経型と非神経型が存在するが日本人においては遺伝子型との相関は認められないと報告されていた。すなわちL444P/L444P変異は諸外国では亜急性神経型(タイプ3)にのみリンクすると報告されているが、日本人では非神経型および急性神経型の両方の臨床表現型を示す。この臨床表現型に関する問題を解決するためL444P/L444Pと同定された日本人15例の臨床症状を詳細に検討するとともにリコンビナント遺伝子の関与について検討した。非神経型(タイプ1)と診断されていた12例のうち詳細な神経所見および検査の結果、9例は神経型(タイプ3b)と同定された。また残り3例は幼少児期から酵素補充療法を行っており、また年齢も小さく非神経型とは結論できないことが明らかとなった。また急性神経型(タイプ2)と診断されていた3例については遺伝子解析の結果、L444P変異以下にリコンビナント遺伝子がヘテロに存在することが明らかとなった。すなわち、急性神経型の遺伝子型はL444P/RecNciI(L444P+A456P+V460V)であることが明らかとなった。以上の結果から日本人においてもL444P/L444Pはタイプ3にリンクし、L444P変異にリコンビナント遺伝子が加わると神経症状の発現を促進することが考えられた。
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