ゴーシェ病はグルコセレブロシダーゼ活性低下のためその基質であるグルコセレブロシドが主として細網内皮系に蓄積するため発症するリピドーシスの一つである。臨床的には神経症状の有無と重症度により非神経型(タイプ1)と神経型(タイプ2、タイプ3)に分類されている。しかしながら、神経型の頻度はタイプ1に比較すると低く、本亜型を引き起こす遺伝子変異については十分明らかにされていない。 我々は日本人神経型に高頻度に認められる遺伝子変異(F213I)を同定し、さらに多数例の日本人及び韓国人ゴーシェ病に認めれれるとともにハプ口タイプ解析の結果この変異はアジアに起源するものであることを明らかにした。また17例の日本人神経型ゴーシェ病について7つのcommon mutationのスクリーニングを行い、その遺伝子変異分布が欧米人とは全く異なることを明らかにした。さらに症例数を47例に増やしSSCP法を用いて詳細な遺伝子変異の同定を試みた。7つのcommon mutationのスクリーニングとSSCP法の組み合わせにより日本人ゴーシェ病の遺伝子変異の約85%が同定できることを明らかにした。また、1447-1466 del 20 insTG変異という日本人神経型ゴーシェ病に特有な変異を同定するとともに、この変異が新生児型を含む早期発症の神経型ゴーシェ病にリンクすることを明らかにした。
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