線維芽細胞増殖因子(FGF)は四肢の発生において重要な役割を果たすと考えられているが、レセプター(FGFR)の役割とその下流因子についてはよくわかっていない。四肢の前後軸形成においてFGF4、Sonic hedgehog、レチノイン酸が後方で強く発現することが知られている。そこで我々は4例のFGFR2異常症(Apert(AS)とloss of function変異を持つPfeiffer(PS)各2例づつ)の培養皮膚線維芽細胞を用いて、レチノイン酸レセプターの発現に対するFGFR2の働きについて調べてみた。その結果PS症例ではコントロール、ASに比べRXR-?の発現が亢進していること、そしてそれに伴いその下流因子である細胞質レチナ-ル結合蛋白の発現が亢進していることがわかった。このことから線維芽細胞においてFGFR2はRXR-?の発現をdown regulateしていること、ASの変異はloss of function変異ではないことが推測された。
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