線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)遺伝子の変異は複数の異なった表現型を示すことが知られているが、そのメカニズムについては不明である。そこで我々はFGFR遺伝子にPfeiffer症候群の変異を導入し、それをCO細胞に発現させることにより変異蛋白質の機能を解析した。その結果Pfeiffer症候群は2つの異なったメカニズムによっておこることがわかった。FGFR2の3番目の免疫グロブリン様ドメインにあるいくつかのよく知られたmissense変異は(いくつかはCrouzonn症候群、Jackson-Weiss症候群をおこす変異でもある)リガンド非依存性の持続的活性上昇をおこさせる変異であった。これに対しexon9のsplice acceptor siteの変異はexon9の完全なskipをおこし、frameshift及び短縮型の蛋白を産生するnonsense変異であった。この変異に対しin vitro transcription及びRNase pIotection assayを行なったが、正常なmRNAは全く転写されていなかった。 従ってこのPfeiffer症候群はhaploinsufficiencyによっておきていることがわかった。この2つのメカニズムによっておこる日本人症例のPfeiffer症候群について臨床症状の違いについて検討したところ、rnissense変異のPfeiffer症候群(3例)は主に1型のPfeiffer症候群であったのに対し、nonsense変異のPfeiffer症候群(2例)は肘関節や手指の関節強直が強い2型のPfeiffer症候群を示した。さらに後者の変異では2例とも従来報告のない軸後性多指を示しており、この2つのメカニズムによっておこるPfeiffer症候群は臨床症状も異なると考えられた.
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