一昨年、前年に引き続き、ヒトWilson病お呼びMenkes病の遺伝子を用いて、蛋白を合成し、それに対するポリクローナル抗体を作製、精製した。今回もこのポリクローナル抗体をさらにProtein A beadsにてIgG cutし、さらに抗体を作製したもとの蛋白を用いたaffinity purificationを行い、より特異度の高い抗体を作製した。同様の抗体にて今回は患者および正常コントロール肝組織に対して、immunohistochemistryを行った。 Wilson病の肝組織は現在までに3検体、正常コントロール肝(他疾患にて死亡(剖検)あるいは生検を行って得られた)は2検体である。Wilson病肝組織ではWilson病蛋白に対するポリクローナル抗体の組織内局在は認められなかった。ただし一部の検体ではすでに肝硬変による肝実質細胞の繊維化が激しく、比較しにくい例もあった。正常コントロール肝組織における局在はほぼ培養細胞と同様、Golgi-endosomeと思われる部位にシグナルを認めたがBack ground signalが強く、特異性に一部欠けるものであり、また胆管周囲での局在い対しても安定した結果が得られず現在も検討中である。対策として特異性の高いCY-3などの2次抗体を用いて再検討していく。また発症前型Wilson病(家族内検索にて診断、肝生検を行った症例)の肝組織が、最近得られ現在検討中である。これにより肝繊維化があまり進んでいない例での詳細な検討が可能となり、局在の比較コントロールとして有用と考えられる。今後も検討を続けたい。
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