研究課題/領域番号 |
09770583
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
吉川 哲史 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (80288472)
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研究分担者 |
須賀 定雄 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (70257616)
浅野 喜造 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (40131180)
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キーワード | HHV-6 / 部分生体肝移植 / 不明熱 / HHV-7 |
研究概要 |
1. 肝移植後HHV-6感染 京都大学移植外科で部分生体肝移植を受けた48例のレシピエントを対象として、ウイルス分離、抗体測定、PCR法による血漿からのHHV-6DNA検出を試みた。また、臨床症状に関しては、原因不明の発熱、血小板減少、拒絶反応、中枢神経系合併症、呼吸器合併症に関して検討した。HHV-6感染は移植後2週から4週目にかけて24例(50%)で確認された。9例がウイルス血症を伴っており、分離されたウイルスは全例variant Bであった。また、血漿中ウイルスゲノムの検出は、血清学的ならびにウイルス分離成績と良く相関していた(P<0.01)。臨床症状の中では、唯一原因不明の発熱のみが統計学的にHHV-6感染との関連が証明された。原因不明の胸水貯留を認めた症例については、統計学的には関連が認められなかったものの、症状出現時にウイルス分離や抗体上昇を認めた症例があり今後検討する予定である。 2. 肝移植後HHV-7感染 HHV-7はHHV-6との類似点が多く、両ウイルス抗体間には交差反応のあることが証明されており移植後のHHV-7感染解析には注意を要する。我々は、40例の生体肝移植患者血清をretrospectiveに検討、間接蛍光抗体法による両ウイルス抗体価測定、血漿からの両ウイルスゲノム検索を実施した。40例中16例で両ウイルス抗体価の同時上昇を認め、そのうち13例についてHHV-6中和抗体(NT)、immuno blot法(IB)によるHHV-6特異的IgM抗体の検出を試みた。13例中10例でNTの上昇とIBでのHHV-6特異的IgM抗体が陽性となり、その中の6例では血漿中HHV-6ゲノムが陽性となった。血漿中あるいは単核球中ウイルスゲノム検索が、臓器移植後ウイルス感染症のモニタリングに盛んに使用されているが、それだけでは不十分でありNTあるいはIBを用いた特異的な血清学的検査を組み合わせる事の重要性が示唆された。
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