表皮細胞が分化し最終的に強靭な構造であるcornified envelopeの構成成分のひとつであるcystatin A遺伝子の構造を明かにするため、現在我々が保有しているヒト胎盤由来のgenomic DNA libraryからhuman cystatin A cDNAをプローブにしてcystatin A genomic cloneの単離を試みた。我々は、スクリーニングにより得られた約8kbpのクローンの塩基配列を検討したところ、ふたつのエクソンが含まれていた。さらにその上流域を単離するため、long PCR法を用いて検討したところ、第一エクソンと転写開始点から上流2672bpをふくむPCR産物を単離した。これらの結果から、cystatin A遺伝子は3エクソンからなり、それぞれのエクソンは66bp、102bp、126bpで、第一、第二イントロンは14kbp、3.6kbpであることが明らかになった。 次に我々が現在保有している、SV40-transformed human keratinocytes(SVHK)細胞を用いて、表皮細胞を分化誘導に影響を与える、cAMP、TPA、Ca^<2+>刺激に際してのcystatin Aの発現についてnorthern blot、western blotにて検討した。これらの刺激によりSVHK細胞はCa^<2+>では12から48時間間後、cAMP、TPAでは3から12時間後にcystatin AのmRNAが増強することが明らかになった。また、western blot法においても同様な結果が得られた。
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