1 アトピー性皮膚炎の病態を明らかにするために、皮膚局所に炎症を惹起し浸潤細胞を検討した。 一次刺激性物質であるsodium lauryl sulfate (SLS)を正常人とアトピー性皮膚炎患者の無疹部皮膚に貼付し、浸潤細胞を免疫組織学的に検討したところ、アトピー性皮膚炎患者の皮膚にのみ、EG2陽性の活性化好酸球の浸潤がみられ、正常人の皮膚ではまったくみられなかった。このことからアトピー性皮膚炎患者の無疹部は、アレルゲンに限らず一次刺激性物質の接触でもアトピー性皮膚炎特有の炎症が引き起こされ、さらにその炎症が遷延する可能性が示された。 2 アトピー性皮膚炎患者における酵素活性の特性という全く新しい視点から、アトピー素因について研究した。私たちは、以前の研究でdehydroepiandrosterone (DHEA)の減少がアトピー性皮膚炎でみられるTh2細胞の優位を促進している可能性を明らかにした。今回私たちは、このDHEAを不活性型のDHEA-Sから活性型のDHEAに変換する酵素であるDHEA-sulfataseの活性をモノサイトのセルラインを使って検討し、γ-IFNの存在下で活性が亢進する可能性があることを明らかにし、他のサイトカインについても検討している。 3 喘息などのアレルギー性の炎症において、好酸球の浸潤に関係するplatelet-acutivating factor (PAF)を不活化するPAF acetylhydrolaseの酵素活性を測定し、皮膚炎の重症度との相関について検討した。約30例について検討した結果、これらのあいだには、はっきりとした相関はみられていない。さらに症例を増やして検討中である。
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