研究概要 |
本年度当初は、前年度に引き続き悪性黒色腫組織の収集を行っていたが、研究代表者の宮村が平成10年4月1日に秋田大学医学部皮膚科から名古屋大学医学部皮膚科に転任することになり・これに伴い使用予定の組織の大部分と実験に用いる機器の多くを失ってしまった。現在の名古屋大学医学部皮膚科において新たに悪性黒色腫患者の手術標本を収集し、研究材料となる組織を再度集めている状態である。今後充分量の材料が集まった段階で新たにFHIT遺伝子の解析を進める。資料収集の期間、止むを得ず平行して進めていた遺伝性対側性色素異常症(Dyschromatosis Symmetrica Herditaria,以下DSHと略す。)原因遺伝子座位の解明を中心に研究を行うことになった。この研究は、染色体上に散らばっているマイクロサテライトマーカーとDSH発症が、家系内で関連して遺伝しているかどうかを調べられる連鎖解析法を用い、DSHの原因遺伝子座位を明らかにするため行われた。その結果、半分以上の染色体においてDSHとの連鎖がないことを明らかにするとともに、以前に何らかの関連が疑われていたIdiopathic Torsion DystoniaとDSHの間に遺伝的関連が無いことも証明した。これらの結果は平成10年に行われた第97回日本皮膚科学会総会、日本人類遺伝学会第43回大会で発表を行った。また現在Journal of Dermatological Scienceに投稿しており、minor changeによりAcceptされることが確実な状況になっている。
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