本年度はチロシンキナーゼ遺伝子の皮膚における発現をPCR法を用いて解析した。B6新生児マウス皮膚よりmRNAを抽出し、逆転写酵素を用いて皮膚由来のcDNAプールを作製した。チロシンキナーゼ・ファミリーに特異的なDNAプライマーを合成し、上記cDNAプールを用いてPCRを行なった。PCR産物の塩基配列を決定し、DNAデータベース上でスクリーニングしたところ、レセプター型チロシンキナーゼとしてPDGF-R、EGF-R、FGF-R、flk-1、MET、tie、IGF-Rを、細胞質型チロシンキナーゼとしてtyk2、lck、blk、hckを同定した。 さらに本年度はチロシンキナーゼのマウス各臓器、皮膚の構成細胞での発現をRT-PCR法により検索した。すなわち、各臓器および新生児マウス皮膚をディスパーゼにより、表皮と真皮に分離し、各々をin vitroで培養し、表皮角化細胞と真皮線維芽細胞を得た。色素細胞としてはメラノーマ株であるB16細胞を用いた。マウス各臓器から抽出したRNAからRT-PCR法により、cDNAを合成し、新規チロシンキナーゼ遺伝子であるPTK70のcDNAをプローブとしてSouthern blot analysisを行ったところ、皮膚、肺、胸腺で高い発現が確認され、脳、腎、心臓、脾臓では発現がみられなかった。皮膚の構成細胞では表皮角化細胞・真皮線維芽細胞・B16細胞で同様に発現を検討したところ、表皮角化細胞に高い発現がみられた。
|