研究概要 |
今年度はまず、残量が僅少となっていたコラーゲンα2鎖のプロモーター領域を有するCATプラスミド(COL1A2-CAT)及びその切断変異(-772,-376,-323,-299,-289,-264,-186,-108)をコンピテント化したE.coli.JM109にトランスフォームし、あらためてコロニーをピックアップしQiagen社製Mega Prep Kitを用いて塩化セシウム密度勾配遠心法以上の精製度での大量調製を行った。 これらの各プラスミドを強皮症線維芽細胞と正常線維芽細胞にtransfectして強皮症線維芽細胞におけるプロモーター活性化が消失する領域の同定を試みたが、各実験間および強皮症線維芽細胞と正常線維芽細胞間のtransfectionの効率のばらつきが大きく、特に短い切断変異プラスミドにおいて安定した結果を得ることができなかった。trasnfectionの効率を全体的に上昇させる必要があると思われ、従来のリン酸カルシウム法を最近のlipofectin等を用いた高効率の方法に切り替えることを検討中である。 並行して、正常および強皮症線維芽細胞よりcrudeな核抽出液を得、ゲルシフトアッセイにより両者の差異について検討した。最近、強皮症患者PBMCの核抽出液においてIL-2プロモーターのNF-κB領域への結合能が上昇しているとする報告が成されたため、線維芽細胞についてNF-κB領域のconsensus sequenceを用いて同様の検討を試みたところ、強皮症線維芽細胞の核抽出液により強い結合能が認められた。今後、I型コラーゲンα2鎖遺伝子プローター上でのNF-κB結合領域について検討していく予定である。
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