ヒトヘルペスウイルス8型(HHV-8またはKS-HV)の病変形成への関与について検討するために 1.in situ PCR法によりカボジ肉腫組織切片上でのKS-HVの局在について検討した。 2.CD34、第8因子関連抗原、vEGF、オンコスタチンMについてカボジ肉腫組織切片上で免疫染色を行い、in situ PCR法におるKS-HVの局在と対比した。 3.骨髄移植患者の皮膚(GVHD病変)、各種の皮膚腫瘍組織からDNAを抽出し、PCR法によりKS-HVの検出を試みた。 その結果、 1.in situ PCR法によりカボジ肉腫組織内ではKS-HVは腫瘍細胞そのもの、および一部病期のすすんだ症例では表皮細胞にも存在することが証明された。 2.CD34は第8因子関連抗原よりすぐれたカボジ肉腫腫瘍細胞のマーカーだった。vEGF オンコスタチンMともに腫瘍細胞に陽性となり、その局在はKS-HVと類似していた。 3.骨髄移植患者の皮膚、および皮膚腫瘍組織からはKS-HVDNAは検出されなかった。 以上よりKS-HVはカボジ肉腫腫瘍細胞に特異的に存在し、vEGF、オンコスタチンMといったサイトカインを介したオートクライン、パラクライン増殖を行っていることが推察された。
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