研究概要 |
再発性単純ヘルペスに続発する多形紅斑Herpes-associated EM(HAEM)における単純ヘルペスウイルス(HSV)の関与について、(1)皮疹部のT細胞のサイトカインについて通常のHSV感染とどのような差があるのか検討する、(2)皮疹部のT細胞を分離、培養し、その性質を末梢血のものと比較する、(3)皮疹部に原因抗原となるHSVが存在するかをin situ PCRなどの敏感な方法を用いて検出するという目標を設定した。 (3)については、現在までにHSVの局在を明らかにするためにin situ PCR法を確立し、病理組織切片上でHSVのゲノムを確認できるようになった。検出したHSVゲノムは表皮に存在しており、特に毛包を形成する表皮細胞に長期間存在することが確認された。また、一部の遺伝子についてRT-PCRで転写産物を見たところ、DNA polymeraseを含む初期遺伝子群の転写が認められることがわかり、技術面で協力した実験グループと共同で報告している(Journal of Investigative Dermatology,109:550-556)。また(1)の免疫学的側面についても患者末梢血を刺激して得られるT細胞の受容体とその産生するサイトカインについて調べた結果を投稿している(British Jounal of Dermatology,in press)。(2)に関しては、皮疹部からの細胞を分離して培養する報告された方法を追試しているが、現在まで成功しておらず現状では末梢血の結果との比較は難しいと考えられる。
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