先ず、Maillard反応後期生成物(以下、AGEsと略)の人生検材料における分布を、免疫電顕法を用いて検討した。一次抗体として、抗AGEs抗体(6D12).抗elastin抗体を用い、二次抗体としでは、15-nmもよび6-nm金コロイド標識抗マウスIgG抗体を用い、二重染色を行った。生検材料は、-4℃で固定、LR White resinに包埋した。 高齢者露光部(顔面)における、elastotic degenerated fiberのamorphousおよびfibrous formでの比較では、前者においては、高電子密度(日光老化に伴って増加してくる)部分にはAGEsが、低電子密度の部分にはelastinが分布していた。後者では、両者が混在する形で分布していた。ただし、高電子密度の部分にAGEsが分布している点は共通であった。Grenzzoneでは、AGEs.elastinともに明らかな分布は認められなかったが、actinic elastosis領.域での線維芽細胞では、AGEsの散在的な分布を認めた。また、表皮レベルでもAGEsの軽度の分布を認めた。しかし、膠原線維においては、AGEsの分布はわずかしか認められなかった。 動物モデルでの検討では、マウスに紫外線照射し、時間経過をおって先ず光顕レベルで観察した。しかしながら、UV-A、UV-B、UV-A+B照射群いずれにおいても明らかな日光弾性線維症を認めることができなかった。 これまでは、AGEsの細胞での存在は確認されていなかったが、最近、細胞での存在の可能性も示唆されてきており、今回使用した抗体6D12以外の抗体を用いて、さらに検討する予定である。また、マウスでの日光弾性線維症モデルが確立できなかった原因は不明であるが、紫外線以外の要因が関与している可能性も考えられ、今後、紫外線と種々の因子を組み合わせて、さらに検討していく予定である。
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