研究概要 |
IL-7(インターロイキン-7)はB細胞、T細胞に対して分化、増殖に関与すると考えられている。IL-7は皮膚ではケラチノサイトから産生され、Thy-1^+dendritic epidermal T cellの増殖に関与している。また、IL-7 transgenic mouseのあるものは重篤な皮膚炎、皮膚T細胞リンパ腫類似の皮膚病変が観察されることが知られている。IL-7 transgenic mouseと正常マウスの胎仔から成体にかけてのT細胞の動態の比較検討,また,IL-7 transgenic mouseの皮膚病変の検討を行い、IL-7の皮膚病変形成への関与、機能解析の検討を行う。まず,今年度は正常胎仔マウス、新生仔マウス、成体マウスの皮膚T細胞の動態を検討した。胎児マウスの表皮には胎齢16日に多数のαβT細胞を認めるが,以後,急激に減少し,生後,少数存在する。Thy-1陽性細胞,γδT細胞は胎齢16日より円形の細胞として出現し,生後,急激に増数し,dendritic figureを呈する。真皮では胎齢16日に多数のThy-1陽性γδT細胞,αβT細胞を認めるが急激に減少し,生後,αβT細胞はほぼ消失するがThy-1陽性γδT細胞は少数存在する。これらの細胞はヌードマウスへの植皮実験で胸腺外分化、皮膚での分化が示唆された。これらの減少、消失するはずの細胞が何らかの影響下で皮膚において分化、増殖し、皮膚疾患を形成する可能性があるため、来年度はIL-7 transgenic mouseの胎仔から成体にかけてのT細胞の動態と比較検討を行いIL-7 transgenic mouseの重篤な皮膚炎発症におけるIL-7の関与、機能解析を行う。
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