色素性乾皮症(XP)マウスにおける腫瘍免疫、及び腫瘍免疫に対する紫外線(UVB)照射の影響を検討する目的で、NK細胞の数及び活性と、それらのUVB照射後の変化を、野生株マウスと比較した。 1.末梢血中の白血球数、リンパ球数、NK細胞数 (1)いずれも非照射XPマウスでは、野生株マウスに比較して高値の傾向があったが、有意差はなかった。 (2)UVB 500mJ/cm2の1回照射、3回連日照射、5回連日照射のそれぞれ翌日には、野生株マウスでは非照射群に比較して有意な変化はみられなかった。XPマウスでは、1回照射では変化がみられなかったが、3回及び5回連日照射により、リンパ球、NK細胞(%及び実数)に有意な減少がみられた。XPマウスでの500mJ/cm2 5日連日照射後のNK細胞数の経時的変化を検討したところ、照射3〜5日後に最低値をとり、10〜15日後には照射前の値に回復していた。 2.脾臓細胞のNK活性 (1)非照射野生株マウスでは3%弱、XPマウスでは10〜15%程度、poly I:C腹腔内投与で誘導されたNK活性は、それぞれ20%前後、30〜50%程度であり、XPマウスでは野生株よりもNK活性が高値であった。 (2)野生株マウスでは、500mJ/cm2 1回、3回、5回連日照射のいずれによっても、poly I:C誘導性のNK活性に変化は生じなかった。一方、XPマウスでは、1回照射では変化はみられなかったが、3回照射で非照射群のおよそ60%、5回照射で30〜40%に活性が低下した。XPマウスでのNK活性低下の経時的変化を検討したところ、3回照射では照射翌日から5日後まで低下が持続し、10日後には照射前の値に回復した。5回照射の場合には、照射翌日から3日後までは照射前の20〜40%、5日後から10日後まで40〜60%程度に低下し、15日後には元の値に回復した。この間、脾臓のNK細胞数には変化はなかった。 以上より、末梢血中のNK細胞数やNK細胞活性の低下が紫外線により強度に引き起こされることも、XPの高頻度皮膚発癌に関与していることが示唆された。
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