色素性乾皮症(XP)マウスにおける腫瘍免疫、及び腫瘍免疫に対する紫外線(UVB)照射の影響を検討する目的で、in vivoでの腫瘍排除能と、腫瘍排除能に対するUVBの影響を、野生株マウスと比較した。 [方法] XPマウス由来の紫外線誘発性皮膚腫瘍を1〜1.5mm角に細切し、XPマウスと野生株マウスの皮下に移植した。経時的に腫瘍の大きさを計測し、腫瘍排除能を両群マウスで比較した。 [結果] (1) 非照射マウスに移植した場合:腫瘍は移植後10〜20日をピークに増殖し、その後徐々に縮小した。移植25〜30日後にはほぼ排除された。両群マウスの間で経時的変化に差異は認められなかった。 (2) 紫外線照射マウスに移植した場合:UVB100mJ/cm2を1回、2回連日、3回連日照射、及び50mJ/cm2を3回連日照射したそれぞれ翌日に移植したところ、野生株マウスでは、非照射時と同様に、いずれも20〜30日後には腫瘍は排除された。一方、XPマウスでは、移植腫瘍のl/4〜l/3が排除されずに生着し、腫瘍の大きさも拡大して腫瘍死に至った。 [結論] 以上より、非照射状態のXPマウスは、野生株マウスと同等の免疫学的腫瘍排除能を有するが、紫外線照射により腫瘍排除機構が容易に損傷されることが示された。但し、この方法では、移植腫瘍細胞数が各マウスで一定になっておらず、また腫瘍と共に角化物質も移植されるために異物反応を含めて観察している可能性がある。
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