ファントムによる検討TFTカラー液晶モにタ-装置(1024×768ドット、1619万色対応、重量6Kg)を用いてファントム実験をおこなった。バーガーファントム、矩形波チャート(KYOKKOX線テストチャートtypeNo.3Nr.30069)での評価では、正面像では17インチ、液晶モニタ間に差はなかったが、斜め60度および45度からの観察では読影者3名のうち2名が液晶の方が一段階解像度が劣ると評価した。シリコンとゴムを用いた4種類の肺野疑似結節を配置した胸部ファントムを用いた7名の読影者によるROC解析では、いずれのタイプの結節の検出にも有意差はみられず、pooling法による検定では全結節に関する検出のp-valueは0.59であった。(2)臨床評価 脳内に梗塞巣のある症例20症例のCT画像について従来型CRTと液晶モニターとの比較読影実験をおこなった。液晶モニタはTFTカラー液晶モニター装置(17インチ相当、1024×768ドット)を用い、MRIのT2強調画像をgoldenstandardとして従来型CRTモニター画像との間で、7名の読影者により脳を10の領域に分割した場合の病変の存在確信度についてROC解析を施行した。Az値による両群間のp-valueは0.92(average法)であり、有意差はみられなかった。以上の結果により、液晶モニタは胸部結節影や脳梗塞など基本的なCT画像に関しては通常型CRTモニタに匹敵する画像診断能を提供できると推測されるが、平成10年度はMRIなど他のモダリティーや動画での評価、スペースなどが制限される病院内の特殊な環境における実験や評価を施行する予定である。
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