研究概要 |
今年度は臨床の画像システムでの実践的評価として、手術場での画像表示環境における液晶モニタの画質評価を施行した。方法:対象画像は北大附属病院手術部内で撮像され、専用ネットワークを介し画像サーバーに保管されたX線画像29例である。対象は部位別に(a)中心静脈チューブを挿入した胸部X線写真8例、(b)術中胆道造影画像5例、(c)金属デバイス装着後の四肢の術中写真8例、(d)脊椎手術の際の椎体レベル確認用X線画像8例に分けて評価し、評価者は、医師5名と放射線技師1名(b群は0)とした。医師は各種画像を日常術場で判断している臨床専門医すなわちa群;麻酔科医、b群;消化器外科医c,d群 整形外科医とした。画像は液晶モニタ(16.1″)と通常のパソコン用17インチモニタ/各1280x1024matrix,24bitカラー表示、およびFCRハードコピー画像にて別個に読影した。但し、ハードコピーに比し、液晶モニタおよび通常CRTの画像は10〜20分の一の圧縮が行われている。評価は評価者の時間の制限から、画像上、臨床的に重要な構造に着目したスコア評価とし、a群についてはIVHカテ気管チューブの位置が、b群では胆管分枝が、c群ではデバイスと椎体または関節との関係が、d群では椎体レベルがそれぞれ3;よくわかる2;何とかわかる、1;わからない、設定した。別の表示法でみた同一症例の記憶の影響を相殺するため、3つの表示法での読影順序が観察者間で異なるように設定し、それぞれの表示法での画像提示順序もランダマイズした。結果;液晶モニタでの画像評価はハードコピーとほぼ同等で、通常型CRTより常によい平均スコアを示した。c群の椎体レベル判定画像のみ、液晶およびはハードコピーの平均スコア2.7より劣ったが、スコアは2.27であった。結論:高精細液晶モニタは手術場で読影、判定されるX線写真の表示系として使用可能と考えられ、その省スペース等の利点から、院内の各所において利用が期待される。
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