研究概要 |
1 脳血流トレーサ定速静注下の血液中のトレーサ濃度の検討:健常ボランティアを対象に各種脳血流トレーサ(I-123IMP,Tc-99m HMPAO,Tc-99m ECD)を定速静注下に経時的に採血を施行し、血液中の脂溶性分画中のトレーサ濃度の変化を検討した。定速静注により,いずれのトレーサ血液中濃度変化も1ないし2指数関数で近似され、静注開始後5〜10分でほぼ平衡状態となることをが明らかとなった。特にTc-99m ECDは、最も早く濃度が平衡に達し脂溶性分画中の放射能の割合も高かった。 2 脳内トレーサ動態の検討、最適撮像時間の決定:Tc-99m ECDを用いて基礎的検討を行った。脳動態SPECTの脳集積曲線と経時的な動脈血液中脂溶性分画の濃度変化からコンパートメントモデル解析の手法を用いてTc-99m ECDの脳内動態を明らかにした。その結果、投与後5〜10分で、脳内放射能は、定速静注法の理論どおり時間に対して直線的に上昇することが確認され、SPECT加算撮像時間は10〜15分および15〜20分が適当と考えられた。 3 正常例での検討:定速静注法の妥当性を証明するために、Tc-99m ECDを用いて、正常成人ボランティア10例を対象に標準的定量法であるXe-133ガス吸入法との比較検討を行った。定速静注法を適用した結果、良好な血流画像が得られ、得られた値も報告されている脳血流値とTc-99m ECDの一回循環での抽出率の積に近い値であった。また、Xe-133ガス吸入法による局所血流値との間に相関が認められ、簡便な血流定量法としての妥当性が証明された。
|