研究概要 |
放射線照射とマイルドハイパーサーミア,およびメチルキサンチンの併用における照射効果の増感と細胞周期制御の関係を明らかにするために,以下の実験を行った.マイルドハイパーサーミアは41度を,メチルキサンチンとしてはカフェインを使用した. 41度のみ,カフェイン1mMのみでは細胞死は認められなかった.腫瘍はp53変異株であるヒト肺癌株LK87細胞を用いた.低線量率照射を41度の温度で行うと,照射効果の増感が認められた.照射のみではG2ブロックが著明であったが,照射と41度を併用すると,完全に増殖は抑制され,細胞はG1期に集積し放射線抵抗性のS期細胞が減少した.また照射併用時は熱耐性が完全に抑制された.同様に低線量率照射を1mMのカフェインを添加して行うと,照射効果の増感が認められた.カフェインの併用により,細胞はG1期に集積したが,このとき細胞数はむしろ増加し,照射によりG2期に集まった細胞の細胞周期を進行させ細胞死へ導いたものと考えられ.照射,41度,カフェインを同時に行うと細胞死はさらに増強した.細胞周期の変化は強いG1ブロツクであった. ウェスタンブロットによるHSP72/73の解析では,三者の併用は治療時間内のHSP72/73の産生を抑制する結果が得られた.
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